『サクッとわかるビジネス教養 認知バイアス』の本要約。フレーミング効果・損失回避・スキーマなど、日常に潜む思考のクセを具体例でわかりやすく解説。
私たちは「自分は論理的に判断している」と思いがちですが、実際には多くの場面で 無意識の思考のクセ=認知バイアス に左右されています。
本記事では、藤田政博氏の著書『サクッとわかるビジネス教養 認知バイアス』(新星出版社, 2023年7月15日刊行)をもとに、代表的なバイアスをわかりやすく解説します。さらに、日常生活やビジネスで「どう活用できるか」をたとえ話を交えてご紹介します。
認知バイアスとは何か?|本書の概要と重要性
認知バイアスとは、人間の思考や判断に生じる「ゆがみ」のことです。私たちは合理的に考えているつもりでも、実際には感情や思い込み、環境の影響を強く受けています。
たとえば、同じニュースを見ても「自分の意見を補強する部分だけ信じる」ことがあります。これは「確証バイアス」と呼ばれる典型的な認知バイアスです。
本書『サクッとわかるビジネス教養 認知バイアス』は、こうした心理学の知見をイラストや事例を交えて解説しており、専門知識がなくても楽しく読める構成になっています。
たとえば…
・友達から「この映画すごく面白いよ!」と言われると、自分も面白い部分だけに注目してしまう。
・逆に「イマイチだった」と言われると、欠点ばかり探してしまう。
これも典型的な認知バイアスです。

フレーミング効果|見せ方ひとつで判断が変わる
「フレーミング効果」とは、情報の提示の仕方によって人の判断が変わってしまう心理現象です。
例として有名なのが、次の2つの表現です。
- 「この手術は成功率90%です」
- 「この手術は失敗率10%です」
数字的には同じ意味ですが、多くの人は前者の方に安心感を抱きます。
たとえば…
スーパーで「20%引き」と表示されるとお得に感じるのに、「定価の80%」と書かれると魅力が薄れる。この感覚の違いもフレーミング効果です。
ビジネスの場面でも、商品を「成功体験」として提示するか「失敗回避」として提示するかで顧客の反応が変わります。

損失回避バイアス|「得より損が怖い」人間心理
人間は「得する喜び」よりも「損する悲しみ」を強く感じる傾向があります。これを「損失回避バイアス」と呼びます。
心理学者カーネマンとトヴェルスキーの研究によれば、1000円得したときの嬉しさより、1000円失ったときのショックの方が大きいのです。
たとえば…
・財布に入っていた500円玉を落としたときのショックは、500円拾ったときの嬉しさより強烈に感じませんか?
・セールで「今買わないと損する」と焦って買ってしまうのも損失回避の心理です。
この傾向を理解すると、ビジネスでは「損を避けたい心理」を逆に活かすマーケティングが可能になります。

スキーマの揺らぎ|コロナ禍で露わになった思考の型
「スキーマ」とは、物事の理解や行動の枠組みのことです。たとえば「朝は出勤して会社で働く」というのも一種のスキーマです。
しかし新型コロナウイルスの流行は、このスキーマを大きく揺さぶりました。リモートワークやオンライン会議が当たり前になり、「仕事=オフィス」という従来の型が崩れたのです。
たとえば…
・レストランでは「メニューを見て注文する」というスキーマがありますが、食券制の店に入ると一瞬戸惑います。
・突然そのルールが変わると、私たちは強い違和感や不安を覚えるのです。
スキーマは便利な一方で、状況の変化に柔軟に対応できないデメリットもあることがわかります。

認知バイアスをどう乗り越えるか?|日常とビジネスでの実践法
認知バイアスは完全に消すことはできません。しかし、自覚するだけで大きく改善できます。
実践ポイント
- 多角的に情報を見る
一つの意見やニュースに偏らず、複数の情報源に触れる。 - 言い換えて考える
「成功率90%」と聞いたら「失敗率10%でもある」と考える習慣を持つ。 - 振り返りを行う
自分の判断が感情に左右されていないか確認する。
たとえば…
・ダイエット中に「今日はちょっとくらい食べても大丈夫」と思ったとき、「それは確証バイアスかも」と気づくだけで冷静になれる。
・買い物で「今だけお得!」に飛びつきそうなとき、「損失回避に駆られていないか」と考えると無駄遣いを減らせる。

まとめ
本書『サクッとわかるビジネス教養 認知バイアス』は、私たちが普段気づかない「思考のクセ」をイラストと事例でわかりやすく解説してくれる一冊です。
- フレーミング効果:表現の仕方で判断が変わる
- 損失回避バイアス:「得より損が怖い」心理
- スキーマ:思考の型が揺らぐと混乱する
これらはすべて、日常生活やビジネスに深く関わっています。
認知バイアスを「敵」とするのではなく、「理解して活用する」ことが大切です。自分の思考のクセを知れば、無駄な失敗を減らし、より賢く行動できるようになります。
本記事を通じて、「自分もバイアスに左右されている」と気づいた方は、今回ご紹介した内容はほんの一部です。実際の本には、さらに日常やビジネスで役立つ事例が豊富に紹介されています。興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取って、さらに深い学びを得てみてください。

出典;Amazon 『サクッとわかるビジネス教養 認知バイアス』藤田政博著
コメント