仕事ができる人は“人の心理”を味方にしています。今回はロミンガーの法則、パーキンソンの法則、リーナスの法則、社会的証明、バンドワゴン効果──職場で今日から使える具体的な活用例を、分かりやすいたとえ話で解説します。
ロミンガーの法則 — 成長の7割は「現場の経験」で決まる ↑
ロミンガーの法則(70:20:10の考え方)は、成長の大半が実務経験から来ることを示しています。研修や座学だけでなく、実際に「やらせてみる」場が最も教育効果が高いという指摘です。
新人がクレーム対応を初めて任される場面を想像してください。上司が全部代わりにやるのではなく、最初は先導しつつも本人に一次対応を任せる。失敗してもリカバリーできる安全網があることで、次回は自信を持って自走できるようになります。
職場での活用ポイント
- 段階的に責任範囲を広げる(スモールステップ)
- 失敗を学びに変えるフィードバックを用意する
- 「見て学べ」だけに頼らず、実行機会を設ける

パーキンソンの法則 — 「時間があるほど、仕事は伸びる」 ↑
パーキンソンの法則は、与えられた時間を使い切るまで仕事が広がるという心理を指します。締切が遠いと無意識に先延ばししてしまう人が多いです。
会議資料を「来週までで良い」と言われると、気が緩んで最終日前日に慌てることがある一方で、「今日中にラフを出す」と指示されると短時間でまとまる──という経験はありませんか?時間を区切るだけで集中力が上がります。
職場での活用ポイント
- 締切を小分けに設定し、マイルストーンを作る
- チームで“早め提出チャレンジ”を制度化する
- 本人に「見える化」させて自己管理させる(タイムボックス)

リーナスの法則 — 面白いものは、予定していないところから生まれる ↑
偶然の会話や雑談から生まれる創発的なアイデアを肯定する考え方です。効率を優先しすぎて会話の余白を消してしまうと、発想の芽を摘んでしまうことがあります。
休憩室での何気ない雑談が、顧客の不満点を露呈させ、新サービス案に繋がったケース。こうした『たまたま生まれた気づき』を拾える文化が重要です。
職場での活用ポイント
- 雑談の時間や場を意図的に残す(雑談OKのコーナー)
- フリー発想の場を定期的に設ける(アイデアハック)
- 失敗や脱線を許容する心理的安全性を醸成する

社会的証明の原理 — リーダーの冷静さがチームを守る ↑
人は他人の行動を手掛かりに「正しい」判断を下す傾向があります。危機的状況でリーダーが落ち着いていれば、メンバーも安心して動けます。
船が損傷してパニックになりかけても、船長が冷静かつ論理的に指示を出すと乗客は落ち着き、混乱が最小限で済む――職場でリーダーが示す落ち着きは同じ効果があります。
職場での活用ポイント
- リーダーは感情をコントロールしてまず落ち着く
- 言葉遣いと行動で安心感を示す(短く明確な指示)
- 危機対応フォーマットを作り、誰が何をするかを明確化する

バンドワゴン効果 — 「みんながやってる」には力がある ↑
多くの人が支持するものに追随する心理です。新ツールや新施策の導入時、この効果を上手に使うと浸透が早くなります。
新しいプロジェクト管理ツールを最初に数名のキーパーソンに使ってもらい、効果を実感させる。口コミ的に広がることで全社導入がスムーズになります。
職場での活用ポイント
- アーリーアダプターを見つけて協力を依頼する
- 導入効果を見える化して周知する(成功事例の共有)
- 導入開始時は“自然な必然”を演出する(上司の利用、導入キャンペーン)

まとめ ↑
紹介した5つの心理法則は、どれも「人の行動の裏側にある仕組み」を理解するための実践的なツールです。下表に短く整理しました。
| 法則名 | 職場での活用ポイント |
|---|---|
| ロミンガーの法則 | 実務経験を中心に育成する。任せて学ばせる。 |
| パーキンソンの法則 | 締切は小分けに。タイムボックスで集中を生む。 |
| リーナスの法則 | 雑談や余白を残し、偶発的な発想を拾う。 |
| 社会的証明の原理 | リーダーが落ち着くことでチームは安心して動ける。 |
| バンドワゴン効果 | 最初の支持者を作り、浸透の波を生む。 |
まずは一つ、今週できそうなアクションを試してみてください。例:締切を1日前倒しにする/休憩室で週1回の雑談時間を作るなど。
もっと詳しく心理法則が知りたい方はこちらの書籍をぜひ参考にしてください。



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