2026年W杯グループF初戦の相手はオランダ代表。
データ会社Optaはオランダの1位通過確率を54%と予測し、日本は40%で追う構図です。
この記事では「無冠の強豪」の実力と弱点の両面を分析し、日本がダラスで勝つためのカギを探ります。
オランダ代表はどんなチーム? W杯での実績と現在地
W杯準優勝3回、それでも優勝できない歴史
オランダ代表は、W杯で3度の準優勝を経験しながら一度も優勝していない「無冠の強豪」です。
1974年の西ドイツ大会と1978年のアルゼンチン大会では、ヨハン・クライフを中心とした「トータルフットボール」で世界を席巻しました。
攻守の区別なく全員がポジションを流動的に入れ替えるこの戦術は、現代サッカーの原型とも言われています。
そして2010年の南アフリカ大会でも決勝に進みましたが、スペインに延長戦の末0-1で敗れました。
直近の2022年カタール大会では、決勝トーナメント準々決勝でアルゼンチンとPK戦の末に敗退。
2-2の同点に追いついてからのPK負けという、オランダらしい「あと一歩で届かない」展開でした。
歴代のW杯成績をまとめると、準優勝3回(1974年、1978年、2010年)、3位1回(2014年)、ベスト8が2回。
出場12回で常に上位争いに絡む実力がありながら、頂点には届いていません。
FIFAランキング7位 ― 2026年大会での立ち位置
2026年4月時点のFIFAランキングでオランダは7位に位置しています。
日本は18位で、ランキング上は明確な格上です。
データ会社Optaがスーパーコンピューターで算出した優勝確率では、オランダは上位グループに入っています。
グループFにおいてはオランダの1位通過確率が54%、日本が40%という予測です。
ドイツの『キッカー』誌も「オランダが首位通過の本命だが、日本は十分にグループ首位を争う力がある」と分析しています。
つまり、オランダは優勝候補とまでは言えないものの、グループステージ突破の本命であることは間違いありません。
クーマン監督の下で目指す「悲願の初優勝」
現在のオランダ代表を率いるのは、ロナルド・クーマン監督です。
現役時代はバルセロナやオランダ代表でDFとして活躍し、1988年の欧州選手権(EURO)優勝メンバーでもあります。
時事通信の報道によると、3月の親善試合では主力のデ・ヨングを欠きながらも逆転勝利を収め、選手の入れ替えを試しながらチームの底上げを図っている様子がうかがえます。 クーマン監督のチーム作りの特徴は、経験値のある選手を重視する点です。
W杯やEUROの大舞台を経験した選手を中心に据え、安定感のあるチーム構成を目指しています。
オランダ代表の基本フォーメーションと戦術的特徴
4-2-3-1を軸にした攻撃サッカー
オランダ代表の基本フォーメーションは4-2-3-1です。
このシステムの特徴は、中盤の2枚(ダブルボランチ)がゲームをコントロールし、両サイドと攻撃的MFが流動的にポジションを入れ替えながら攻撃を仕掛ける点にあります。 「トータルフットボール」の伝統を受け継ぐ、ポゼッション(ボール保持)を軸にした攻撃的なスタイルです。
JFA公式の対戦国情報では、オランダの強みとして「相手のプレッシャーを受けながらもボールを前進させる運搬力」が挙げられています。
中盤でボールを落ち着かせ、両サイドやトップ下から崩していく形がオランダの基本パターンです。
中盤の支配力 ― デ・ヨング+ラインダースの「心臓」
オランダの戦術の核は中盤にあります。
JFA公式の対戦国情報によると、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)は「相手のプレッシャーを受けながらもボールを前進させる運搬力は世界屈指」と評されています。
ここにティヤニ・ラインダース(マンチェスター・シティ)やライアン・フラーフェンベルフ(リバプール)といった、運動量と技術を兼ね備えた選手が加わることで、中盤の厚みは圧倒的です。
この中盤トリオがボールを握ることで、オランダは試合のテンポを完全にコントロールできます。
日本にとっては、この中盤をどう抑えるかが試合の行方を左右する最大のポイントになります。
サイド攻撃とダムフリーズの攻撃参加
もうひとつの武器がサイド攻撃です。
右サイドバックのデンゼル・ダムフリーズ(インテル)は、本来DFでありながら積極的に敵陣深くまで上がり、クロスやシュートで攻撃に参加します。
インテルでも攻守両面で欠かせない存在であり、代表でもその攻撃力は大きな武器になっています。
左サイドにもガクポが流れてきたり、攻撃的なサイドバックが高い位置を取ったりすることがあり、両サイドからの攻撃は日本の守備陣にとって大きな脅威です。
オランダ代表の注目選手5選 ― 日本が警戒すべき男たち
ファン・ダイク(リバプール)― 世界最高峰のCBが立ちはだかる
フィルジル・ファン・ダイク(34歳)は、現代サッカーにおける世界最高峰のセンターバックのひとりです。
193cm超の長身と圧倒的なフィジカルで空中戦を制し、対人守備では相手FWにほとんど仕事をさせません。
リバプールではDFラインの統率者としてプレミアリーグ優勝やチャンピオンズリーグ優勝を経験しています。
オランダ代表ではキャプテンを務めており、守備の安定感だけでなくリーダーシップでもチームを支えています。
日本のFW陣、特に上田綺世や古橋亨梧がこのファン・ダイクとどう対峙するかは、試合の大きな見どころです。
フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)― 試合のテンポを支配する司令塔
フレンキー・デ・ヨング(29歳)は、オランダの攻撃の起点となる中盤の司令塔です。
バルセロナでもレギュラーとして活躍する彼の最大の武器は、プレッシャー下でもボールを失わない技術と、正確なパスで攻撃のスイッチを入れる配球力です。
JFA公式もその運搬力を「世界屈指」と評しています。 守備面でもポジショニングに優れ、攻守のバランスを保つ役割を担っています。
日本の中盤が彼にボールを持たせてしまうと、オランダにゲームのリズムを完全に握られる可能性が高いです。
コディ・ガクポ(リバプール)― 大舞台で覚醒するアタッカー
コディ・ガクポ(27歳)は、W杯やEUROなどの大舞台で力を発揮するのが特徴的な選手です。
2022年カタール大会ではグループステージ3試合連続ゴールを記録し、一躍世界にその名を知らしめました。
左サイドや中央を流動的に動きながら、ドリブルとシュートの両方で脅威を与えます。
リバプールでは2024-25シーズンに好調を維持しており、代表でも攻撃の中心として期待されています。
大舞台での勝負強さを持っているだけに、日本にとっては最も警戒すべきアタッカーのひとりです。
フェルブルッヘン(ブライトン)― 若き守護神の安定感
バルト・フェルブルッヘン(23歳)は、2026年大会で正GKの最有力候補とされています。
プレミアリーグのブライトンで不動の正GKを務め、シュートストップの反応速度と足元の技術を兼ね備えた現代型のゴールキーパーです。
まだ23歳と若いですが、大きなミスが極めて少なく、安定感はすでにトップクラスに到達しています。
Goal.comの分析でもオランダのGK陣の人材の豊富さが指摘されていますが、その中でもフェルブルッヘンは頭ひとつ抜けた存在です。
ダムフリーズ(インテル)― 右サイドを蹂躙する攻撃的SB
デンゼル・ダムフリーズ(30歳)は、DFでありながら攻撃面でも大きなインパクトを残す選手です。
インテルではウイングバックとしてプレーし、右サイドからの突破やクロス、そしてゴール前への飛び出しでチームの得点に貢献しています。
代表でも同様に攻撃参加が武器で、サイドを押し上げることでオランダの攻撃に幅と厚みをもたらしています。
ただし、攻撃参加の裏側には当然スペースが生まれます。
このスペースを日本がどう活かすかは、後述の攻略法で詳しく触れます。
オランダ代表の弱点はどこにある? ― 優勝を逃し続ける理由
1トップの人選問題 ― 絶対的エースストライカーの不在
オランダ代表は、中盤と最終ラインに世界クラスの選手を揃えていますが、1トップのポジションには不安を抱えています。
Yahoo!ニュースが伝えたtheWORLDの報道によると、今回のW杯メンバー選考ではバーンリーでプレミアリーグ11ゴールを挙げたフレミングが落選する一方、アヤックスで8ゴールにとどまったベグホルストが「経験値」を理由に選出されています。
歴代最多得点者のデパイも3月に右太ももを負傷し、コンディションが万全とは言えない状態です。
つまり、オランダには「この選手にボールを集めれば点が取れる」という絶対的なストライカーがいないのが現状です。
ガクポやデパイが流動的に1トップに入る形もありますが、フィジカルで勝負するタイプではないため、相手のCBとの力勝負で優位に立てるかは未知数です。
W杯の大一番で勝ちきれないメンタル面の課題
過去のW杯データを見ると、オランダは準決勝以降の大一番で勝ちきれない傾向があります。
W杯の決勝では3戦全敗(1974年、1978年、2010年)。
2014年大会の準決勝ではアルゼンチンにPK戦で敗れ、2022年大会の準々決勝でも同じくアルゼンチンにPK戦で敗退しています。
特にPK戦の通算成績は必ずしも良くなく、プレッシャーのかかる場面での勝負弱さは「オランダの呪い」とも呼ばれています。
この「大一番で勝ちきれない」というメンタル面の課題は、今大会でも試合展開次第では影響する可能性があります。
W杯初戦は両チームにとって緊張感が高く、メンタルの差が結果に直結しやすい試合です。
守備ラインの高さが生むカウンターリスク
オランダはポゼッションサッカーを志向するため、守備ラインが高くなる傾向があります。
ファン・ダイクを中心としたDFラインが高い位置をキープすることで、中盤をコンパクトに保ちボール奪取の効率を上げています。
しかし、その裏には必然的にスペースが生まれます。
特にダムフリーズが攻撃参加で高い位置を取ったとき、右サイドの背後には大きなスペースが空きやすいです。
JFA公式の対戦国情報でも「良い形で奪った後の速い攻撃や背後のスペースを突く形で優位に立つことができれば、十分に勝機がある」と分析されています。
これはまさに、オランダの高いラインの裏を突くカウンターが有効であることを示しています。
日本vsオランダ 過去の対戦成績を振り返る
2010年W杯 ― スナイデルの一撃に沈んだ南アフリカの夜
日本とオランダのW杯での対戦は、2010年南アフリカ大会のグループステージまで遡ります。
この試合は、後半にスナイデルの強烈なミドルシュートが決まり、日本は0-1で敗れました。
日本も堅い守備で前半を無失点に抑えましたが、世界クラスの一発に沈んだ形です。
当時の日本代表は岡田監督の下、守備的な戦い方でグループステージを突破しましたが、オランダには力の差を見せつけられた試合でもありました。
2023年キリンチャレンジカップ ― 2-0完勝が示した日本の成長
直近の対戦は2023年のキリンチャレンジカップです。
この試合で日本は2-0で勝利を収めています。
2010年から約13年を経て、日本サッカーは大きく進化しました。
欧州のトップリーグでプレーする選手が増え、個の質とチーム戦術の両面でオランダに対等に渡り合える水準に達しつつあります。
もちろん親善試合とW杯本番では状況が大きく異なりますが、この勝利は「オランダには勝てない」という先入観を覆すうえで重要な経験です。
なお、FIFA公式によると今回の日本vsオランダ戦はW杯通算1000試合目の記念試合にあたります。
歴史的な一戦で日本が勝利を収められれば、大会全体の勢いにもつながるでしょう。
スナイデル氏も警戒「日本を侮るな」
オランダのレジェンドであるヴェスレイ・スナイデル氏も、今回の対戦について日本を警戒する発言をしています。
オランダ版ESPNのインタビューで、スナイデル氏は「日本を侮ってはならない。2度の対戦経験があるが、彼らはとにかく勝ち続けている。2010年のW杯では我々が勝ったが、苦戦した」と語っています。
オランダ国内のサッカーメディアでも、日本はグループF突破を争う最大のライバルとして位置づけられています。
ドイツの『キッカー』誌も「日本は十分にオランダとグループ首位を争う力がある」と評価しており、もはや日本は「格下」ではなく「対等なライバル」として認識されつつあります。
日本がオランダに勝つための3つのカギ
中盤で主導権を渡さない ― 遠藤・守田のプレス強度
JFA公式の対戦国情報では、「中盤で主導権を握られた場合は苦しい展開も想定される」と分析されています。
つまり、裏を返せば中盤でオランダに自由を与えなければ、試合を有利に進められるということです。
日本の遠藤航や守田英正といったボランチは、プレミアリーグやラ・リーガで培った対人守備の強度を持っています。
デ・ヨングやラインダースに対して高い位置からプレスをかけ、ボールの出どころを抑えることができれば、オランダの攻撃のリズムを断ち切ることが可能です。
2023年のキリンチャレンジカップでも、日本は中盤のプレス強度でオランダを上回り、ボールを握らせない展開に持ち込むことに成功しています。
サイドの裏を突く速攻 ― 高いラインの隙を狙え
JFA公式の分析が「良い形で奪った後の速い攻撃や背後のスペースを突く形」を挙げている通り、オランダの高いDFラインの裏は日本にとって最大の攻めどころです。
特に、ダムフリーズが攻撃参加で前に出た右サイドの裏は狙い目です。
日本の左サイドのアタッカーがこのスペースに走り込む形は、得点に直結するチャンスを生む可能性があります。
3月のイングランド戦の親善試合で見せたような、ボール奪取からの素早いカウンターが効果的です。
縦に速い攻撃ができるかどうかが、この試合の鍵を握ります。
セットプレーとメンタル ― 初戦の重圧を味方につける
W杯のグループステージ初戦は、両チームにとって独特の緊張感がある試合です。
オランダは過去のW杯で「大一番で勝ちきれない」傾向があることは前述した通りです。 初戦の固い展開の中で、日本がセットプレーから先制点を奪えれば、オランダに心理的なプレッシャーを与えることができます。
また、この試合はダラススタジアム(AT&Tスタジアム)で行われます。
屋根付きの巨大スタジアムで、収容人数は約8万人。
中立地とはいえ、北中米在住の日本人サポーターの声援も期待できます。
この一戦はW杯通算1000試合目という歴史的な節目の試合でもあります。
大きな舞台で力を発揮する「日本のW杯力」が、今こそ問われる一戦です。
まとめ ― ダラスの初戦が日本のW杯を決める
オランダ代表は、W杯準優勝3回を誇る世界屈指の強豪です。
ファン・ダイク、デ・ヨング、ガクポといった世界クラスの選手が各ポジションに揃い、4-2-3-1の攻撃的なシステムで中盤を支配してきます。
一方で、絶対的なストライカーの不在、W杯の大一番で勝ちきれないメンタル面の課題、そして高い守備ラインの裏に生まれるスペースなど、弱点も確かに存在します。
JFA公式の対戦国情報でも「良い形で奪った後の速い攻撃や背後のスペースを突く形で優位に立つことができれば、十分に勝機がある」と分析されている通り、日本にとって勝利は決して不可能な目標ではありません。
ポイントを改めて整理すると、次の3つです。
- 中盤でデ・ヨングに自由を与えず、プレス強度で主導権を握ること
- ダムフリーズが上がった裏のスペースを突く縦に速い攻撃
- 初戦の緊張感を味方につけ、セットプレーを含めた先制点を狙うこと
6月15日、日本時間の早朝5時。 ダラスのAT&Tスタジアムで行われるこの一戦は、W杯通算1000試合目の記念試合でもあります。
歴史的な舞台で、日本がオランダを上回る姿をぜひ一緒に見届けましょう。
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この記事を書いた人
daiki
W杯2026に向けてサッカー記事を多数執筆中。 欧州サッカーを中心に、注目選手のプレースタイルや各国代表の戦力分析を発信しています。
Instagram:https://www.instagram.com/daiki_mash/


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